最後の晩餐の作り方

出版時間:2001-03  出版社:新潮社  作者:ジョン ランチェスター  譯者:小梨直  

內(nèi)容概要

主人公のイギリス人タークィン?ウィノットは、フランスびいきの食通。第二の故郷であるプロヴァンスへとひとり旅をしている最中だ。
その途中滯在したホテルや立ち寄ったレストランでの食事の模様を語りながら、料理に関するレシピやうんちくをつぶさに開陳し、ついでに家族や自分自身の思い出もそこへ差しはさんでいく。序文で「正統(tǒng)派の料理書は(中略)百科事典と告白録、両方の特徴を兼ねそなえています」と宣言しているように。とうとうと語られる講釈は、文化人類學的、哲學的、心理學的な広範囲の考察に満ちていて博覧強記。皮肉の利いたユーモアも交えている。
しかしながら、そんな楽しい思い出の陰で、主人公に近しい人物たちは次々と死んでいってしまう。乳母、コック、両親、そして彫刻家だった兄。
今回の南フランスへの気ままな旅も、実は、ある新婚夫婦を追跡し、その行動を執(zhí)拗に観察しているらしいのだ。いったい、何のために? 一見単純そうなストーリーは、読み進めていくうちに奇妙に歪みはじめていく。
やがて、しだいに主人公がいわゆる「信用できない語り手」だということがわってくる。脫線と飛躍の多い長講のなかで、彼は自らを述懐し、同時に自らを隠している。彼がしばしば主張する「不在と無と欠如」の蕓術論という煙幕を巧妙に張って。
料理とミステリー。生來相性のいい取り合わせが、またひとつ満腹になる作品を生みだした。(文月 達)

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