人魚の嘆き?魔術(shù)師

出版時間:1978-3-10  出版社:中央公論社  作者:谷崎 潤一郎  

內(nèi)容概要

三島由紀夫が「作家論」の中で、「氏はその生きた時代において幸福であった」との一文があります。この作品を読み終えた時に頭に浮かんだのはまさにこれでした。
「人魚の嘆き」での主人公の境遇、「早く両親を亡くして無盡蔵の財産を手に入れた見目麗しき才人」は作家が執(zhí)拗に用いたモチーフで、これ自體を同じく話の摑みとした「金色の死」の難解さと比べると、こちらはある種おとぎ話のようにわかり易い內(nèi)容です。ただ、今では辭書にも載っているかどうかさえ怪しい絢爛、しかし時に古きに過ぎない漢語と、もろビアズリー風の挿絵、さらにこの時期に顕著な、色濃い西歐禮賛も手伝って、古色蒼然とした大正モダニズムの香り漂う作品の印象です。共通する謎めいた雰囲気、淺草六區(qū)への言及など、「魔術(shù)師」から受ける印象も基本的には似ています。こちらは江戸川亂歩に大きな影響を與えた導入部と、一ひねりある皮肉な終わり方が印象的です。いずれも、今では滅多にお目にかかれない艶やかな美文ですが、リズミカルな文體のおかげで、読み進めるのに難儀しないのはさすがであります。

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