軍記物語(yǔ)の機(jī)構(gòu)

內(nèi)容概要

【はじめに】より
「軍記物語(yǔ)の機(jī)構(gòu)」と題する本書(shū)は、軍記物語(yǔ)の記述、表現(xiàn)に立ち入り、そのしくみを考察するものであるが、「軍記物語(yǔ)」という概念、ジャンルを固定的、実體的に捉え、それを自明の前提として思考するという方法はとらない。本書(shū)では、史実を制約的な創(chuàng)造基盤(pán)として、爭(zhēng)亂の世のあり様とそこに生きる人々の姿を描いた物語(yǔ)をひとまず「軍記物語(yǔ)」と規(guī)定する。そして、何よりも考えたいのは、軍記物語(yǔ)と総稱(chēng)されるテキストのそれぞれの記述のからくり、しくみである。この記述のからくり、しくみとは、運(yùn)動(dòng)性や動(dòng)力の発現(xiàn)、発動(dòng)を前提にしたものでもある。本書(shū)のタイトルにも用いている「機(jī)構(gòu)」という言葉は、このような動(dòng)態(tài)を前提にしたからくり、しくみを意味する。本書(shū)でも、「機(jī)構(gòu)」を「きこう」と読むことは言うまでもないが、同時(shí)に、これを「からくり」とも、「しくみ」とも、ルビを振って読んでみたい気もする。こうした「機(jī)構(gòu)」という概念をめぐって注目するのは、それぞれのテキストに、さまざまな意味、イメージ、機(jī)能、役割を擔(dān)ったことばが集まり、世界を、歴史を、人物を表象している様相である。その表象のメカニズム、ダイナミズムを捉え出し、ひとつひとつのテキストの固有のしくみを明らかにし、表現(xiàn)史、文化史、學(xué)問(wèn)史の中に位置づけること、これが本書(shū)のめざすところである。そうした目的の下、各章が、直線的、単線的にではなく、言わば、多元的、交錯(cuò)的に結(jié)びつけばよいと考えている。

書(shū)籍目錄

はじめに―考察の対象と目的―
第一章　『將門(mén)記』の機(jī)構(gòu)
問(wèn)題の所在―『將門(mén)記』は軍記か？―／將門(mén)記』が捉える因果連鎖
（一）―奪われ続けた戦火終熄の機(jī)會(huì)―／同（二）―怨み、憤りの増幅的連鎖―／
同（三）―「大害」への連鎖とその帰結(jié)―／『將門(mén)記』の特質(zhì)
第二章　『將門(mén)記』の記述を支えるもの
問(wèn)題の所在―「軍記」という枠組みを外して『將門(mén)記』を考える―／
真名表記にかかわるリテラシーの系脈／吏の文學(xué)としての
『將門(mén)記』／『將門(mén)記』の記述を支えるネットワーク／
『將門(mén)記』の世界観／
おわりに―『陸奧話記』?『奧州後三年記』について―
第三章　『陸奧話記』の機(jī)構(gòu)
問(wèn)題の所在―『陸奧話記』とはいかなる「鎮(zhèn)定記」か―／「將軍」創(chuàng)出／
「鎮(zhèn)定記」としての『陸奧話記』
―『今昔物語(yǔ)集』巻第二十五第十三話との比較を通して―／
「征夷」の「記」としての『陸奧話記』／
『今昔物語(yǔ)集』巻第二十五第十三話の記述の性格／
『陸奧話記』の表現(xiàn)世界／『陸奧話記』の「先駆」性／
『陸奧話記』の成立事情をめぐって／
おわりに―さらなる読解の可能性をめぐって―
第四章　『保元物語(yǔ)』の機(jī)構(gòu)
問(wèn)題の所在―不思議の歴史敘述としての『保元物語(yǔ)』―／
半井本終盤(pán)部の不思議の記述／
地の文に見(jiàn)られる即発的な発話の累加／
登場(chǎng)人物の間の奇妙な発話の累加／
ストーリーを形成する発話の累加／発話の累加が指向するもの／
中世軍記物語(yǔ)の表現(xiàn)の始発としての発話の累加
第五章　『承久記』の機(jī)構(gòu)
問(wèn)題の所在―慈光寺本『承久記』の一貫性とは―／
冒頭部の記述が提示すもの／表現(xiàn)世界の人々を衝き動(dòng)かすもの／
政治の動(dòng)向を左右するもの／歴史敘述として提示するもの
第六章　『平治物語(yǔ)』の機(jī)構(gòu)
問(wèn)題の所在―事実を語(yǔ)ろうとしない歴史敘述―／
冒頭部の記述が提示するもの／藤原信頼の道化性が意味するもの
／藤原信頼の暴力性が意味するもの／
『平治物語(yǔ)』と平治の亂―日本史學(xué)研究における平治の亂の理解をめぐって―／
『平治物語(yǔ)』の表現(xiàn)世界とその形成
第七章　『平家物語(yǔ)』の機(jī)構(gòu)（一）―多様性、拡散性を秩序化する機(jī)構(gòu)―
問(wèn)題の所在―均衡の文學(xué)としての『平家物語(yǔ)』―／
序の語(yǔ)りと平重盛の発話の権能／
年代記的敘述と日付表現(xiàn)「同」がもたらす語(yǔ)りの権能／
『平家物語(yǔ)』における〈人間〉と〈狀況〉
第八章　『平家物語(yǔ)』の機(jī)構(gòu)（二）―その語(yǔ)りの機(jī)構(gòu)―
問(wèn)題の所在―世上の伝聲を取り込む語(yǔ)り―／
語(yǔ)りと噂（一）―伝聞表現(xiàn)「聞こゆ」、「とかや」、「承る」の機(jī)能と意味―／
同（二）―匿名の人の言動(dòng)が擔(dān)う機(jī)能と意味―／語(yǔ)りと余情
第九章　『平家物語(yǔ)』の機(jī)構(gòu)（三）―身體表象をめぐる機(jī)構(gòu)―
問(wèn)題の所在―身體表象の顕現(xiàn)と隠蔽―／隠される首―覚一本の沈黙の機(jī)構(gòu)（一）―
／広本の身體表象の過(guò)剰／拭われた血―覚一本の沈黙の機(jī)構(gòu)（二）―／
因果応報(bào)の理と鎮(zhèn)魂の指向の中の身體
第十章　『平家物語(yǔ)』の機(jī)構(gòu)（四）―平宗盛の表象の機(jī)構(gòu)―
問(wèn)題の所在―規(guī)範(fàn)、様式の欠落が意味するもの―／社會(huì)の中の宗盛／
集団の中の宗盛／父としての宗盛／宗盛の機(jī)能と類(lèi)型性
第十一章　『平家物語(yǔ)』の機(jī)構(gòu)（五）―源行家の表象の意味―
問(wèn)題の所在―表現(xiàn)世界の秩序や類(lèi)型から外れる人物とは―／東國(guó)を巡る行家／
墨俁合戦における行家／頼朝の許を出奔する行家／
行家の入京と出京／室山合戦とその後の行家／行家の最期／
『平家物語(yǔ)』における源行家の表象の意味
第十二章　『太平記』の機(jī)構(gòu)（一）―敗北的記述の反転的機(jī)構(gòu)―
問(wèn)題の所在―「蒙竊」に始まる敘述―／語(yǔ)り手の突出と孤絶化／
語(yǔ)り手の後退と〈事実〉の前景化／
〈記録〉の理念、〈事実〉の重さ／
語(yǔ)り手と〈事実〉との相関の行く方
第十三章　『太平記』の機(jī)構(gòu)（二）―その語(yǔ)りの機(jī)構(gòu)―
問(wèn)題の所在―『太平記』の語(yǔ)りの共同性を問(wèn)う―／
伝聞表現(xiàn)「聞こゆ」、「とかや」、「承る」の機(jī)能と意味／
匿名の人の言動(dòng)が擔(dān)う機(jī)能と意味／『太平記』の語(yǔ)りの機(jī)構(gòu)
第十四章　『太平記』の機(jī)構(gòu)（三）―身體表象をめぐる機(jī)構(gòu)―
問(wèn)題の所在―「其身金鉄ナラザレバ」―／苛まれる身體／
障壁としての身體／願(yuàn)望と絶望との相剋に支配された表現(xiàn)機(jī)構(gòu)
第十五章　『曾我物語(yǔ)』の機(jī)構(gòu)
問(wèn)題の所在―『曾我物語(yǔ)』の難解さ―／仮名本の「盃論」から考える／
仮名本の「切兼曾我」から考える／曾我兄弟と親族／
曾我兄弟と「友」／曾我兄弟と「傍輩」
第十六章　『大塔物語(yǔ)』の記述を支えるもの
問(wèn)題の所在―『大塔物語(yǔ)』という真名表記テキストの成立が意味するもの―／
記述の枠組みとしての漢學(xué)／真名表現(xiàn)のしくみと可能性／
軍記としての表現(xiàn)の様態(tài)と機(jī)能／
『大塔物語(yǔ)』と室町時(shí)代の文化、學(xué)問(wèn)
第十七章　『義経記』の機(jī)構(gòu)
問(wèn)題の所在―序文の意味をめぐって―／登場(chǎng)人物の恣意的言動(dòng)／
表現(xiàn)行為の恣意性／義経主従における〈見(jiàn)る/見(jiàn)られる〉意識(shí)／
弁慶の言動(dòng)と視線をめぐる願(yuàn)望／義経の言動(dòng)と視線をめぐる願(yuàn)望／
表現(xiàn)世界における視線と蕓能とのかかわり／
義経の最期の場(chǎng)面と視線をめぐる願(yuàn)望／
『義経記』の表現(xiàn)世界―恣意と視線の機(jī)構(gòu)―
おわりに―まとめと今後の展望―
初出一覧?あとがき?索引（書(shū)名?論者名?校注者名）

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