一死、大罪を謝す 陸軍大臣阿南惟幾

出版時間:1983.7  出版社:新潮社  作者:角田 房子  

內容概要

80年刊行。
昭和20年4月、鈴木內閣で陸相に就任して以來、一貫して継戦を主張し続け、8月14日、最後の御前會議の場においても、あくまで継戦を主張した阿南陸相。しかしこれは彼の本心ではなく「腹蕓」だった、とする説がある。
その頃の日本は、もはや勝つ見込みなどどこにもなかった。まともに考えれば採るべき道はポツダム宣言の受諾しかないが、內地と外地合わせて550萬人の將兵を保有する日本陸軍が最後の一戦を闘わずして降伏するなど納得するわけがなかった。たとえ政府が降伏を認めたとしても、各地で陸軍が叛亂し、勝手に継戦するか、クーデターが発生する危険が高かった。今から考えると馬鹿げたようなことが當り前の時代があったのだ。
そんなころに陸を代表する任に就いた阿南大將。その経歴は平凡で、陸大入試は3度失敗し、戦地においても華々しい戦果などなく、どちらかというと負けが多くて、はっきり言って戦下手という評価も受けている。それでいて上からも下からも信任が厚かった、というのは逆に言えば余程の「人物」だったのではないだろうか。
昭和20年8月15日朝、見事に自決を遂げた陸相?阿南惟幾。玉音放送に先駆けたその自決こそが各地陸軍の暴走を食い止めた、そういう意見もある。そしてそれまでの愚直なまでの強硬論も実は陸の暴走を抑えるためのポーズだった、という見方もできる。それらの真実は別として、あの混亂の時代にそういう人物がいたことを日本の國民は知っておくべきではないだろうか。こういう人こそ、たとえ名前だけでも教科書に載るべきでは、と私は思う。

作者簡介

角田 房子(つのだ ふさこ、女性、1914年12月5日 - )は、日本の作家。
東京府生まれ。福岡女學院専攻科卒業(yè)後、ソルボンヌ大學へ留學。第二次世界大戦勃発により帰國し、戦後に夫の転勤に伴って再度渡仏。1960年代より執(zhí)筆活動を開始。精力的な取材と綿密な検証に基づくノンフィクション文學を數多く手掛ける。
日本人のあるべき姿を追い求め、歴史への問いかけを続けている。明治以降の苦難の時代を生き抜いた日本人と、日本人の遺したものに関する作品が多い。平和な時代に生きる日本人に、日本人としてのアイデンティティーを強く意識させるものとなっている。

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