沙漠に日が落ちて

出版時間:2012-1  出版社:講談社  作者:毛利眞人  

內(nèi)容概要

エロ、グロ、ナンセンスでしか語れぬ真実もある。昭和初期、獨(dú)特の聲で時代を疾駆した蕩児の姿から、戦前文化に存在した可能性を問う
昭和のはじめ、二村定一という歌手にして蕓人がいました。當(dāng)時は飛ぶ鳥を落とす勢いで彼を知らない人はいませんでした。エノケンこと榎本健一を凌駕する人気であったといって過言ではありません。たとえば「君戀し」(?宵闇迫れば 悩みは果てなし)はフランク永井の昭和30年代の歌謡曲と思ったら大間違い(もっとも、いまジェロが歌っていますが)、もともとは二村定一が昭和4年に歌って大ヒットした歌です。いまでもある世代より上の人々は、彼のレパートリーだった ?俺は村中で一番、モボだといわれた男(「灑落男」)や?沙漠に日が落ちて夜となるころ(「アラビアの唄」)などの舶來流行歌を懐かしく思い出すことでしょう。色川武大のエッセイにその風(fēng)貌がわずかに偲ばれます。
ただ、二村はこの時代の享楽と頽廃の申し子でありすぎました。その後軍國化する日本で彼の居場所はどんどん狹まり、生活は荒れてやがて舞臺から消えてゆきます。
一時代を築いた蕓人や歌手が忘れ去られてゆくのは仕方のない宿命です。しかし、彼は21世紀(jì)らしい手段で不死鳥のように甦りました。2007年11月、関西の人気テレビ番組「探偵ナイトスクープ」で、「90歳の祖母が口ずさむ奇妙な歌の正體を知りたい」という依頼が取り上げられました。その正體は昭和7年に二村定一が歌った〈百萬円〉という唄でした。この番組によって〈百萬円〉のエロ?グロ?ナンセンスそのものの歌詞もさることながら、忘卻の海に沈んでいた二村定一という歌手が一気に浮上してきたのです。いま、ウェブ上で二村を熱く語る若年層がどれほど多いか、攜帯電話の著メロまで作られたという事実を知ったら、オールド?ファンは驚愕することでしょう。
戦後すっかり定著してしまった観のある戦前=軍靴の響きといういかつい概念。それを本書では揺さぶってやろうと思います。このうえなく軽佻浮薄でエロ歌手の代表格と目された二村定一が、硬直した文化史の読み直しを迫ってくるさまは読者に新しくも根底的な視角を提供するはずです。また、詳細(xì)な年譜、ディスコグラフィーも必読です。

書籍目錄

第一章 生まれながらの伊達(dá)男
1 壇ノ浦の天才少年
2 大阪へ
3 僕は歌劇で身をたてたいから
第二章 淺草オペラにあこがれて
1 コーラスボーイ
2 震災(zāi)前後
3 佐々紅華の敷いたレール
第三章 ジャズ?エイジの寵児
1 〈アラビア〉の唄
2 ジャズシンガーになる
3 〈君戀し〉の大ヒット
第四章 エノケンと ベーちゃん
1 「カジノ?フォーリー」から「プペ?ダンサント」へ
2 才能全開
3 無邪気ないゝ人、いゝ人だけど
第五章 早すぎる死
1 深まる屈託
2 流れ流れて
3 昭和二十三年九月十二日
むすびに
年譜
ディスコグラフィー

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